
みなさんは、かつて神奈川県の中心部を颯爽と駆け抜けていた、あのスタイリッシュな電車を覚えていますか?
ギラリと輝くアルミの車体に、引き締まった黒いお顔。
そして、どこかレトロで温かみのあるオレンジと赤のライン。
そう、相模鉄道(相鉄)の昭和後期から平成、そして令和の始まりまでを全力で支え続けた名車、「相鉄新7000系」です!
2020年11月に多くのファンに惜しまれつつも営業運転を終了し、惜しまれながら引退していったこの車両。
実は、ただの「古い電車」ではないんですよ。
そこには、激動の時代を乗り越えようとした相鉄の技術者たちの並々ならぬ情熱と、驚くべき先進的なアイデアがぎっしりと詰まっていたのです。
今回は、そんな相鉄新7000系の誕生の秘密から、隠された開発秘話、そして今もなお語り継がれる数々の逸話を、余すところなくお届けします!
この記事を読めば、普段何気なく乗っている相鉄線の景色が、ちょっぴり違って見えるかもしれません。
それではさっそく、新7000系が駆け抜けたあの輝かしい時代へ、出発進行です!
まずは、当時の感動が蘇るこちらの映像から、彼らの勇姿を振り返ってみましょう!
激変する昭和末期に課された「相鉄近代化」のミッションとは?
相鉄新7000系が産声をあげたのは、今から約40年前の1986年(昭和61年)4月のことでした。
当時の日本は、バブル景気の足音が近づき、世の中全体がものすごいエネルギーで満ちあふれていた時代です。
もちろん、相鉄沿線も例外ではありませんでした!
横浜駅周辺の目覚ましい発展や、いずみ野線の延伸計画、さらには沿線のニュータウン開発によって、利用客数が爆発的に増加していたのです。
そんな中、相鉄にはある大きな課題がありました。
「これからの新しい時代にふさわしい、明るくモダンで、たくさんのお客様を快適に運べる主役車両が欲しい!」
実は、当時走っていた従来の「7000系」は、非常に実用的で頑丈な素晴らしい車両だったのですが、デザイン的には「食パン」などとも呼ばれる、実用性重視の少し無骨なスタイルだったのです。
これはこれでレトロで愛嬌があったのですが、新時代の相鉄をアピールするには、もう一歩インパクトが足りませんでした。
そこで立ち上がったのが、相鉄の開発チームと、長年のパートナーである日立製作所の技術者たちでした!
「従来の7000系が持つ高い信頼性はそのままに、誰もが『おっ、新しい相鉄の電車だ!』と一目でわかる劇的なチェンジを遂げよう!」
こうして、単なるマイナーチェンジの枠を超えた、新7000系の壮大な開発プロジェクトがスタートしたのです。
この熱い想いが、のちに語り継がれる数々の大改革を生むことになります。
技術者のこだわりが炸裂!「ブラックフェイス」誕生の秘密
新7000系を語る上で、絶対に外せない最大の特徴といえば何でしょうか?
そう、何と言ってもあのシャープで引き締まった「ブラックフェイス風」の前面デザインですよね!
従来の7000系は銀色一心のシンプルな前面でしたが、新7000系では窓の周りを大胆に黒く塗装し、フロントガラスを大きく見せる工夫が施されました。
これ、今見ても信じられないくらいスタイリッシュだと思いませんか?
実は、このデザインには技術者たちの並々ならぬこだわりと、機能美が隠されていたのです。
単に「カッコよくしたい!」という理由だけではなく、運転士さんの視界を広げ、安全性を極限まで高めるための緻密な計算の結晶でした。
前面のガラスを左右に大きく回り込ませることで、死角を減らし、乗務員の運転ストレスを大幅に軽減することに成功したのです!
さらに、ライトの位置にも注目してみてください!
従来の上部配置から、腰部(前面の真ん中あたり)へと変更され、より精悍な表情になりました。
アルミ車体の美しいヘアライン仕上げと、赤とオレンジの鮮やかな帯、そして黒いフェイスのコントラストは、当時の鉄道界でも「非常に洗練されている!」と大きな話題になったんですよ。
この時確立された「洗練された通勤電車」というブランドイメージが、その後の相鉄の車両デザインにどれほど大きな影響を与えたかは言うまでもありません。
1つの形式に2つの心臓?「抵抗制御」から「VVVF」への壮絶な過渡期
新7000系をさらに面白く、そしてディープにしているのが、その「制御方式(走る仕組み)」のドラマです!
実は、新7000系は製造された時期によって、中身のメカニズムが全く異なるという、ちょっと珍しい特徴を持っています。
これって、鉄道ファンにとってはたまらないポイントですよね!
まずは、その違いをわかりやすくリストにまとめてみました。
- 初期製造車(1986年〜):抵抗制御(ていこうせいぎょ)
電気を流すときに抵抗器を使って電車のスピードを調整する、昔ながらの非常に安定した仕組みです。
あの「ゴツゴツ」とした力強い加速音と、どこか懐かしい乗り心地が特徴でした。 - 後期増備車(1989年〜):VVVFインバータ制御
最新の家電製品にも使われている技術で、電気の強さをコンピュータで自在に変えながらモーターを回す、当時最先端の省エネ技術です。
静かでスムーズ、そして滑らかな加速を実現しました。
なんと、同じ「新7000系」という名前でありながら、全く異なる2つの心臓を持つ編成が同じ線路を走っていたのです!
これには、1980年代後半という「技術の過渡期」ならではのドラマがありました。
当時、VVVFインバータ制御はまだ生まれたばかりの最先端技術で、コストも高く、安定性の面でも未知数な部分が多かったのです。
しかし、相鉄の技術者たちは「これからの未来、地球環境に優しく、電気代も節約できるVVVFは絶対に不可欠になる!」と確信していました。
そこで、日立製作所さんとタッグを組み、慎重にテストを重ねた上で、1989年製の後期グループから満を持してVVVFインバータ制御を採用したのです!
この決断が、のちに相鉄が誇る高性能車「8000系」や「9000系」へと繋がる、偉大な技術的架け橋となりました。
まさに、新7000系は相鉄の技術の進化を身をもって証明した、生き証人だったのですね!
「窓が勝手に開く!?」乗客を驚かせた独自の快適装備とこだわり
相鉄の電車といえば、昔から「他の鉄道会社にはない、ユニークで贅沢な装備が多い!」ことで有名ですよね。
新7000系にも、そんな相鉄ならではのユニークなこだわりがこれでもかと詰め込まれていました!
乗客や運転士さんたちを驚かせた、代表的なエピソードをいくつかご紹介しましょう。
まず、乗客が驚いたのが、窓の横についている謎のスイッチです。
これ、なんとボタンを押すだけで窓が自動で上下する「油圧式パワーウィンドウ(自動窓)」だったんですよ!
今でこそ車の窓はパワーウィンドウが当たり前ですが、昭和の通勤電車で、しかもボタン一つで窓がスーッと開閉するなんて、まるで魔法のようではありませんか?
「面白くて、乗るたびに何度もボタンを押しちゃった!」という、当時の子どもたちの微笑ましい思い出もたくさん残っています。
さらに、足回りにも独自のこだわりが光っていました。
相鉄伝統の「直角カルダン駆動方式」と、車輪の外側にブレーキディスクが露出している「外側ディスクブレーキ」です!
専門用語で難しく聞こえますが、要するに「乗り心地を抜群に良くして、ブレーキの熱を逃がしやすくする、ものすごく手間のかかった贅沢な足回り」なんです。
このおかげで、新7000系は急カーブが多い相鉄線内でも、まるで魔法の絨毯のように静かで滑らかな走りを提供することができたのですね!
通勤電車に「革新」をもたらしたセミクロスシート試験の衝撃
新7000系が相鉄の歴史に残した偉大な功績は、デザインやモーターだけではありません。
実は、車内の座席レイアウトにおいても、非常に大胆な挑戦を行っていたのです!
それが、一部の車両に試験的に導入された「セミクロスシート」でした。
通常の通勤電車といえば、壁に沿って長いベンチのような椅子が並ぶ「ロングシート」が一般的ですよね。
しかし相鉄は、「お買い物帰りのご家族や、ちょっと遠くまでお出かけするお客様に、旅行気分を味わえるゆったりとした空間を提供したい!」と考えました。
そこで、新7000系の車内の一部に、進行方向を向いて座れる2人掛け・4人掛けのボックス席(クロスシート)を配置したのです!
これには、当時の乗客から「いつもの通勤電車なのに、急行に乗るとまるで観光旅行に行っているみたいでワクワクする!」と大絶賛の声が上がりました。
この新7000系での試験的な成功が自信となり、その後に登場する相鉄の看板車両、8000系や9000系において、本格的なセミクロスシートの導入へと繋がっていったのです。
乗客の「あったらいいな」をカタチにする相鉄の優しい姿勢が、この新7000系からスタートしていたと思うと、なんだか胸が熱くなりますよね!
2020年11月、涙のラストランと新型車両へ受け継がれた「相鉄の魂」
昭和から平成を駆け抜け、令和の時代を迎えてもなお、相鉄本線やいずみ野線で元気に走り続けていた新7000系。
しかし、時代の波は確実に進んでいきました。
相鉄線が悲願であった「JR線への直通運転(2019年開始)」や「東急線への直通運転(2023年開始)」を控える中、直通運転に対応した超最新鋭の車両たちが次々とデビューすることになったのです。
それが、現在の主役である12000系や20000系です。
最新の保安システムや、お洒落なネイビーブルーの車体をまとった新型車両の増備に伴い、新7000系は少しずつその役割を後輩たちに譲っていきました。
そしてついに、2020年11月、営業運転からの完全引退が発表されたのです。
公式の引退記念イベントが案内されると、沿線には長年彼らを見守ってきた多くのファンが詰めかけ、最後の雄姿を目に焼き付けました。
34年間、大きな事故もなく、毎日毎日、雨の日も風の日も、私たちを安全に目的地まで運んでくれた新7000系。
彼らが引退するとき、多くのファンや相鉄の社員さんから「ありがとう、本当にお疲れ様!」という、温かい感謝の言葉が数多く送られました。
引退した新7000系はもう線路上を走っていませんが、彼らが培った「静かで快適な乗り心地」「乗客を思いやる車内設備」、そして「常に新しい技術に挑戦するスピリット」は、現在の新型車両たちの中にしっかりと受け継がれています!
あなたの机の上に、あの「ブラックフェイス」のロマンを蘇らせませんか?
ここまで相鉄新7000系の熱い歴史とドラマを振り返ってきましたが、いかがでしたでしょうか?
「もう一度、あのカッコいいお顔と赤いラインの走る姿が見たいなぁ…」なんて、ちょっぴり寂しくなってしまった方もいらっしゃるかもしれませんね。
でも、大丈夫です!
あの昭和・平成のロマンを、今度はあなたの手で、あなたの机の上に再現する素晴らしい方法があるんですよ!
実は、相鉄新7000系は、鉄道模型(Nゲージなど)として、非常にハイクオリティなモデルが各メーカーから発売されています!
ギラギラとしたアルミ車体の絶妙な質感や、特徴的なブラックフェイス、そして初期の赤・オレンジ帯の姿から、後年のさわやかな「相鉄ブルー」「相鉄オレンジ」に変更された姿まで、驚くほど精密に再現されているんです。
模型を手にとってじっくり眺めてみると、当時の技術者たちが「どうすればもっとカッコよくなるか?」と頭を悩ませた、あの美しい窓のカーブや、独特の外側ディスクブレーキの立体感が、驚くほどのリアルさで迫ってきます!
夜、お部屋の明かりを少し落として、模型のヘッドライトを輝かせながら走らせてみれば、そこはもう昭和後期の横浜駅、あるいは緑豊かな自然を駆け抜けるいずみ野線の世界そのものです。
ぜひ、あなたのお部屋のコレクションに、この歴史を創った相鉄の名車「新7000系」を加えてみてはいかがでしょうか?
あの頃のワクワクするような情熱と、相鉄の魂が、あなたの日常にきっと素敵な光を運んでくれるはずですよ!