東武5700系の逸話:戦後復興を彩ったロマンスカー!「猫ひげ」に隠された技術者たちの挑戦と愛された40年の軌跡

※車両画像はイメージです。実車両とは異なることがあります。

東武5700系の逸話:戦後復興を彩ったロマンスカー!「猫ひげ」に隠された技術者たちの挑戦と愛された40年の軌跡

昭和のレトロな雰囲気が漂う鉄道の旅、皆さんはお好きですか?
特に戦後の復興期から高度経済成長期にかけて、日本中を駆け抜けた特急列車たちには、現代の車両にはない独特の温もりとロマンが詰まっていますよね。

その中でも、東武鉄道の歴史を語る上で絶対に外せない名車が存在します。
それこそが、今回ご紹介する「東武5700系」なんですよ!

「昔、日光へ行くときに乗った思い出がある!」という方もいれば、「名前は聞いたことがあるけれど、どんな車両だったのかな?」と気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
実はこの車両、戦後の東武鉄道が命運をかけて開発した、ものすごいドラマが隠された名車中の名車なんです。

この記事を読めば、東武5700系がどのような時代背景で誕生し、技術者たちがどんな壁を乗り越えて完成させたのか、そのすべてが分かりますよ!
当時を知る人には懐かしく、初めて知る人には驚きの連続となる、心温まる開発ストーリーをぜひ最後まで楽しんでいってくださいね!

【導入】昭和のきらめきを乗せて!人々の記憶に刻まれた「猫ひげ」のロマンスカー

今から約70年前の昭和26年、青空に映えるツートンカラーの美しい電車が日光線を走り始めました。
それを見た当時の人々は、まるで夢の乗り物が現れたかのように目を輝かせたと言われています。

その車両こそが、戦後初の東武自社設計特急形電車である東武5700系です!
特に初期に登場したグループは、正面に銀色の美しい飾り帯があしらわれ、その愛嬌のある姿から「猫ひげ」という可愛らしい愛称で親しまれました。

戦後の混沌とした時代から、人々がようやく「観光」や「お出かけ」を楽しめるようになった時代。
その象徴として、東武5700系は日光や鬼怒川へのきらびやかな旅路を演出し続けたのです。

まずは、そんな東武5700系の当時の雄姿や、懐かしい走行シーンを映像で振り返ってみましょう!
こちらの動画を見ていただくと、一気に昭和のあの頃にタイムスリップしたような気持ちになれますよ。

いかがでしょうか?
重厚感がありながらも、どこか上品で愛らしいその姿は、一瞬で鉄道ファンを虜にしてしまいますよね!

【誕生の背景】国鉄とのプライドをかけた戦い!なぜ東武は新特急を必要としたのか?

さて、ここで時計の針を昭和20年代半ばに戻してみましょう。
当時の日本は、戦争の傷跡から立ち直り、驚異的なスピードで復興へと向かっていました。

その中で、国際的な観光地である「日光」は、日本国内だけでなく、海外からの賓客や進駐軍の人々を迎え入れる重要な場所となっていました。
つまり、日光への観光輸送を制することは、鉄道会社にとっての大きなビジネスチャンスであり、会社のプライドそのものだったのです!

ここで東武鉄道の前に立ちはだかったのが、国鉄(現在のJR東日本)という巨大なライバルでした。
国鉄は強力な蒸気機関車が牽引する客車列車を次々と投入し、日光への観光客を奪おうと攻勢をかけていたのです。

「これではいけない!国鉄に負けない、最高に快適で速い特急列車を走らせるんだ!」
東武鉄道の幹部や技術者さんたちは、強い危機感とともに、並々ならぬ闘志を燃やしました。

実は、当時の東武鉄道は、戦災復旧車や他社からの譲渡車などをやりくりして急行や特急を運行していた状態でした。
しかし、国鉄との激しい競争に打ち勝つためには、妥協のない完全自社設計の本格的な特急専用車両がどうしても必要だったのです。

こうして、東武鉄道の威信と未来をかけた「戦後初の新製ロマンスカー」の開発プロジェクトがスタートしました!
これが、のちに伝説となる東武5700系誕生の瞬間だったのですね。

【開発秘話】技術者たちの執念!3つのグループに分かれた「なぜ?」と挑戦のドラマ

東武5700系の開発にあたって、技術者さんたちは当時の最新技術と、最高のデザインを惜しみなく注ぎ込みました。

実は、この5700系、すべて同じ形をしているわけではなく、大きく分けて3つのグループ(A編成・B編成・C編成)が存在したのをご存知でしたか?

なぜこのようなバリエーションが生まれたのか、そこには技術者たちの並外れたこだわりと、未来を見据えた挑戦があったんですよ!
それぞれのグループの特徴と、開発に込められたドラマを詳しく見ていきましょう。

流線形の美学と「猫ひげ」の誕生(A編成)

最初に登場したA編成(5700形・700形)は、まさに東武の「顔」としてデザインされました。
当時流行していた「湘南顔」と呼ばれる、前面が非貫通の流線形2枚窓スタイルを採用したのです。

さらに、前面には円形のヘッドマークを囲むように、3本の銀色の金属帯が美しく配置されました。
これが、ファンの間で伝説となっている「猫ひげ」スタイルですね!

なぜこのような手の込んだ装飾を施したのでしょうか?
それは、「一目で誰もが憧れる、最高級の特急列車」であることをアピールするためだったのです。

当時の技術者さんは、塗装のツートンカラーとのバランスをミリ単位で調整し、この美しい顔を作り上げたと言われています。
ただ走るだけでなく、見る人すべてをワクワクさせるデザインを目指したなんて、素晴らしいプロ根性ですよね!

実用性と柔軟性を追求した貫通型(B編成)

一方で、同時に製造されたB編成(5710形・710形)は、全く異なる「貫通扉付き」の前面3枚窓デザインで登場しました。
「あれ?せっかくの美しい流線形なのに、どうしてデザインを変えてしまったの?」と不思議に思いますよね。

これには、東武鉄道特有の運行事情が関係していました。
東武日光線は、下今市駅で「日光方面」と「鬼怒川方面」に分岐します。

効率よく乗客を運ぶためには、浅草駅を1つの長い編成で出発し、下今市駅で前後の車両を切り離して、それぞれの目的地へ向かわせる「分割・併合(ぶんかつ・へいごう)」を行うのがベストだったのです。
※分割・併合とは、1つの列車を途中の駅で切り離したり、逆に繋げたりして運行することです。

この作業をスムーズに行うためには、車両同士を行き来できる貫通扉が不可欠でした。
A編成の華やかさを認めつつも、現場での扱いやすさと効率性を追求した、技術者たちの現実的でスマートな判断がこのB編成を生み出したのです。

未来への挑戦!直角カルダン駆動の光と影(C編成)

そして、1953年に増備されたC編成(5720形・720形)には、当時の鉄道界を揺るがすほどの革新的な新機軸が導入されました。
それが、東武初となる「直角カルダン駆動」の採用です!

それまでの電車は、モーターの重さが直接車軸にかかる「釣り掛け駆動(つりかけくどう)」という方式が一般的でした。
この方式は頑丈なのですが、どうしても「ゴー」という激しい騒音や振動が発生してしまいます。

「特急ロマンスカーなら、静かで揺れない、最高の乗り心地を提供しなければならない!」
そう決意した技術者さんたちは、モーターを車体に固定し、柔軟な継手を使って車輪を回すカルダン駆動に挑戦したのです。

しかし、この新しい挑戦は一筋縄ではいきませんでした。
直角カルダン駆動は非常に繊細な技術であり、当時の技術水準では故障が多発してしまったのです。

「せっかくの特急なのに、途中で止まってしまっては意味がない……」
技術者さんたちの必死のメンテナンスも虚しく、最終的にC編成は、信頼性の高い従来の「釣り掛け式」へと戻されることになってしまいました。

このエピソードは、一見すると失敗のように思えるかもしれません。
しかし、このときに培われた新技術への挑戦スピリットがあったからこそ、のちの東武鉄道の素晴らしい名車たちが生まれる土台となったのです!
失敗を恐れずに挑戦し続けた技術者さんたちの姿勢には、本当に頭が下がりますよね。

【運行時の逸話】日光路のクイーン!現場の奮闘と、語り継がれるエピソード

満を持してデビューした東武5700系は、瞬く間に東武日光線のエースとなりました!
特急「けごん」や「きぬ」として、毎日多くのお客さんを乗せて日光路を快走したのです。

車内は、座り心地の良いクロスシート(座席が進行方向を向いたシート)が並び、大きな窓からは関東平野や日光連山の美しい景色が広がっていました。
乗客の皆さんは、美味しいお弁当を食べたり、おしゃべりを楽しんだりと、最高に贅沢な時間を過ごしていたんですよ。

しかし、そんな華やかな運行の裏では、乗務員さんたちの隠れた苦労や、時代に合わせた涙ぐましい改造ドラマがありました。

スピードと安全を守る!急勾配との戦い

日光線といえば、終点に近づくにつれて、山を登るための「急勾配(きゅうこうばい)」が待ち構えています。
5700系は、この坂道を力強く登るための十分なパワーを持っていましたが、秋になるとある大敵に悩まされました。

それが、線路上に落ちる「落ち葉」です!
落ち葉が車輪に踏み潰されると、油のようになって線路が非常に滑りやすくなってしまいます。

「坂の途中で車輪が空転して進めなくなったら大変だ!」
運転士さんたちは、細心の注意を払いながらブレーキや加速を調整し、乗客に不安を与えないよう、プロの技で5700系を操っていました。
まさに、車両と乗務員さんが一体となって日光の厳しい自然に立ち向かっていたのですね。

時代の波に抗うための「お色直し」と変遷

東武5700系は、特急としての華々しいデビューを飾りましたが、その輝かしい主役の座は、意外にも早く後輩たちに譲ることになります。
1956年にさらに快適性を向上させた1700系が登場し、さらに1960年には伝説のデラックスロマンスカー「DRC」こと1720系が登場したからです。

「じゃあ、5700系はすぐに引退してしまったの?」
いえいえ、実はここからが5700系の本当の真骨頂だったんですよ!

特急の座を譲った後も、5700系はその高い性能と快適性を活かして、急行列車や快速、そして修学旅行生などを乗せる団体専用列車として大活躍し続けました。
この過程で、ユニークだった3つのグループは、使いやすさを最優先するために大きな改造を受けることになります。

  • 前面非貫通だったA編成の「貫通化改造」:大人気の「猫ひげ」スタイルでしたが、分割・併合をしやすくするために、なんと他の編成と同じ貫通型へと顔が変わってしまいました。
  • 駆動方式の統一:トラブルが多かったC編成の直角カルダン駆動を、すべて信頼性の高い釣り掛け駆動に変更しました。
  • カラーリングの統一:お馴染みのツートンカラーに統一され、3つのグループの差はほとんどなくなりました。

「猫ひげ」が消えてしまったことは、当時の鉄道ファンにとって非常に寂しい出来事でした。
しかし、これは5700系が「一過性のスター」ではなく、東武鉄道の運行を裏から支える「頼れる大黒柱」として生き残るための、愛に溢れた決断だったのです。

結局、5700系は大きな車体更新を受けることもなく、製造当時のレトロな雰囲気を色濃く残したまま、なんと1991年(平成3年)まで、約40年間にわたって第一線で走り続けました!

古い車両でありながら、最後まで優等列車(快速や臨時特急など)として大切に使われ続けた例は、日本の鉄道史を見渡しても非常に珍しいことなんですよ。

【今に続く価値】どこに行けば会える?奇跡的に守られた5700系のDNA

1991年、惜しまれつつもすべての車両が引退した東武5700系。
しかし、彼らが残した功績と愛らしい姿は、今でも私たちのすぐ近くで大切に受け継がれています!

なんと、引退した12両のうち、4両が形を変えて奇跡的に保存・活用されているんですよ。
今でも5700系に会える素晴らしいスポットを2つご紹介しますね。

聖地・東武博物館で対面する「奇跡の復活劇」

東京都墨田区にある「東武博物館」には、5700系のトップナンバーである「5701号」が展示されています。
「あれ?でも5701号って、途中で貫通型に改造されて『猫ひげ』じゃなくなったんじゃ……?」と思ったあなた、大正解です!

実は、東武博物館に保存されるにあたって、東武鉄道のスタッフさんたちの熱い思いにより、なんと登場時の美しい「猫ひげ」流線形スタイルに見事に復元されたのです!
これは本当に素晴らしい粋な計らいですよね。

博物館を訪れれば、ピカピカに磨き上げられたあの銀色の装飾帯と、昭和のロマンが漂う重厚な車体を間近で見ることができます。
また、館内には別編成の先頭部(5703号)のカットボディも展示されており、運転台に入って当時の雰囲気を体感することもできるんですよ。

車内で美味しい食事ができる!レストラン「マスタード・シード」

もうひとつの驚きの保存先が、埼玉県行田市にあるイタリアンレストラン「マスタード・シード」さんです。
なんと、こちらでは5700系の実物車両(2両)が店舗そのものとして活用されているんです!

お店の敷地内にどっしりと鎮座するツートンカラーの車体は、まるで今にも走り出しそうな存在感。
さらに驚くべきことに、乗客用の客室がそのままお洒落な客席になっており、車内で美味しいパスタやピザをいただくことができるんですよ!

かつて日光への旅行に胸を躍らせた人々のぬくもりを感じながら過ごす時間は、まさに格別です。
鉄道ファンだけでなく、ファミリーやカップルで訪れても、最高の思い出になること間違いなしですね!

【結びと提案】歴史を感じる楽しみ:あなたの机の上に「昭和の日光路」を再現してみませんか?

戦後の厳しい時代を駆け抜け、多くの人々に夢と希望を届けてくれた東武5700系。
彼らが残した技術への情熱や、おもてなしの心は、現在の東武特急「スペーシア X」や「リバティ」といった最新鋭の車両たちにも、しっかりと受け継がれています。

そんな歴史に思いを馳せながら、東武5700系の魅力をさらに深く楽しむ方法として、鉄道模型(Nゲージなど)で手元に再現してみるのはいかがでしょうか?

鉄道模型メーカーからは、あの愛らしい「猫ひげ」のA編成や、実用的な貫通型のB編成などが精密にモデル化されて発売されています。
机の上に小さな線路を敷き、あの懐かしいツートンカラーの2両編成を走らせてみれば、いつでもあなたの部屋が「昭和の日光線」に早変わりしますよ!

「トミックス」や「マイクロエース」、「グリーンマックス」といった有名メーカーの製品をチェックして、自分だけの特別なコレクションに加えてみるのも、大人の贅沢な趣味として最高ではないでしょうか?
ぜひ、模型屋さんやネットショップで「東武5700系」を検索してみてくださいね!

また、週末にはぜひ東武博物館や行田市のレストランへ足を運んで、実物の5700系が放つ昭和のオーラを全身で感じてみてください。
きっと、当時の技術者さんたちや乗務員さんたちの「良いものを作りたい!」という熱い想いが、今も車体から伝わってくるはずです。

昭和、平成、そして令和へ。
時代を超えて愛され続ける東武5700系のドラマを、これからもみんなで大切に語り継いでいきましょうね!

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