
あの頃、旅の主役といえば間違いなく「急行列車」でしたよね!
冷房もまだ珍しかった時代、大きな窓を開けて爽やかな風を感じながら、駅弁を口にした思い出を持つ方も多いのではないでしょうか?
そんな古き良き昭和の鉄道シーンを支え、平成の終わりまで走り抜けた伝説の交直流急行形電車、それがJR475系です!
今回は、なぜこの車両が生まれ、技術者たちがどんな壁を乗り越えて開発に挑んだのか、その熱いドラマと隠されたエピソードを余すことなくお届けします!
この記事を読めば、かつて北陸や九州の険しい山々を駆け抜けた475系の力強い咆哮が、あなたの耳にもきっと蘇ってきますよ!
【導入】ローズピンクとクリームの車体が運んだ、旅のワクワク感
昭和40年代から50年代にかけて、日本全国の幹線を縦横無尽に走り回っていた「急行列車」たち。
その中でも、ローズピンクとクリーム色に塗り分けられた交直流急行形電車は、独特の旅情を漂わせていましたよね!
実はこのカラーリング、当時の最先端技術である「交直流両用」の証だったんですよ。
踏切待ちでこの電車が通り過ぎるのを見送るだけで、「どこか遠くへ行ってみたいなぁ」なんて胸を躍らせたものです。
北陸の険しい山陰を抜け、日本海の荒波を横目に見ながら走る姿。
あるいは、南九州の澄み切った青空の下、桜島をバックに快走する姿。
475系はまさに、地方の主役として人々の日常と非日常を結び続けてくれた特別な存在だったのではないでしょうか?
まずは、そんな彼らが最後に魅せてくれた、北陸本線での誇り高きラストランの雄姿を映像で振り返ってみましょう!
[【国鉄急行型】北陸本線475系 最後の力走](https://www.youtube.com/watch?v=F3P_KInWzDk)
【誕生の背景】立ちはだかる「交直流の壁」と「険しい勾配」をクリアせよ!
昭和30年代後半、日本国有鉄道(国鉄)は全国の主要幹線の電化をハイスピードで進めていました。
ここで鉄道ファンの方ならご存じの、大きな問題が立ちはだかります。
そう、「直流」と「交流」という電気方式の違い、そして交流における「50Hz(東日本)」と「60Hz(西日本)」という周波数の壁ですね!
当時の国鉄は、地域ごとに最適な電化方式を採用したため、路線をまたいで直通運転をするには、複数の電気方式に対応できる「交直流電車」が必要不可欠だったのです。
すでに国鉄では、交直流急行形電車として451系や471系といったパイオニアたちが活躍していました。
しかし、日本の鉄道路線はそんなに甘いものではありませんでした!
北陸本線や九州の日豊本線、さらには東北本線の板谷峠など、急行列車が通るルートにはことごとく「急勾配(険しい坂道)」が待ち受けていたのです。
従来の451系や471系では、パワー不足や下り坂でのブレーキ性能に不安があり、これらの難所を安全に、かつスピーディーに克服することができませんでした。
「勾配に強くて、直流でも交流でもスイスイ走れる、究極の急行形電車を作らねばならない!」
そんな国鉄の悲願と、爆発的に増え続ける旅行需要に応えるために開発されたのが、1965(昭和40)年に登場したJR475系(国鉄475系)だったんですよ!
【開発秘話】技術者たちの執念!「抑速ブレーキ」と周波数のパズル
475系の開発において、技術者たちが最も頭を悩ませたのが、坂道を安全に下るための「ブレーキシステム」でした。
急勾配を下る際、普通の空気ブレーキだけに頼っていると、摩擦熱でブレーキが効かなくなる「フェード現象」が起きてしまい、最悪の場合は大事故につながってしまいます。
そこで技術者たちは、直流用の山岳急行形電車である165系で実績のあった「抑速発電ブレーキ」を、交直流電車にも導入することを決意しました!
抑速発電ブレーキとは、モーターをジェネレーター(発電機)として作動させ、その回転抵抗をブレーキ力として利用するシステムです。
これによって、長い下り坂でもスピードを一定に保ちながら、安全に坂を下ることができるようになりました。
しかし、これを直流と交流の両方で安定して作動させるには、電気回路が非常に複雑になってしまうという高いハードルがあったのです。
設計チームは、主制御器に新開発の「CS15B」を採用し、過酷な環境でも確実に作動する回路を執念で作り上げました!
また、主電動機には当時の国鉄を代表する名機「MT54形(出力120kW)」を搭載。
これによって、これまでの形式を大きく上回る力強い走りを手に入れたのです!
「これでどんな山坂も怖くない!」と、当時の開発メンバーたちも胸をなでおろしたに違いありませんね。
ここでちょっと頭が混乱しやすい、455系・475系・457系の違いを、すっきり整理してみましょう!
実はこれ、対応する「周波数」によって形式が分けられているんですよ。
- 455系:直流 + 交流50Hz(主に東北地域など東日本向け)
- 475系:直流 + 交流60Hz(主に北陸・九州地域など西日本向け)
- 457系:直流 + 交流50Hz・60Hz両用(全国どこでも走れる万能型)
驚くべきことに、これらの系列は制御車(先頭車のクハ455形など)や付随車(サハ、サロ、サハシなど)を共通で使用していたんです!
効率よく車両を運用するための、素晴らしいアイデアですよね。
475系はまさに、西日本の60Hzエリアに特化した「山登りのスペシャリスト」だったのです!
【運行時の逸話】「デカ目」が照らした北陸の豪雪と、乗客を魅了した急行の格調
1965年に華々しくデビューした475系は、期待通り北陸本線や九州地区の急行列車として大車輪の活躍を始めます!
北陸では急行「立山」や「ゆのくに」「くずりゅう」、九州では急行「日向」や「錦江」など、きら星のごとき名物列車たちを率いていきました。
当時の乗客にとって、デッキ付きで2人掛けのクロスシートが並ぶ475系の車内は、とても誇らしく、ちょっと贅沢な空間だったんですよ。
そんな475系のチャームポイントといえば、なんといってもフロントマスクに鎮座する、あの大きくて愛嬌のあるヘッドライト、通称「デカ目(大形前照灯)」ですよね!
のちにすっきりとした「シールドビーム(小形ライト)」に改造された車両も多かったのですが、ファンからはやはり、あの丸くて大きなライトが圧倒的な支持を集めていました。
実はこのデカ目、ただデザインが良いだけではなく、豪雪地帯である北陸の吹雪や、深い霧の中でも行く手をしっかりと照らし出すという、極めて実用的な役割を果たしていたのです。
しかし、栄光の時代は長くは続きませんでした。
昭和50年代後半に入ると、特急列車の増発や、新幹線網の整備によって、急行列車は次々と廃止の憂き目に遭ってしまいます。
1982(昭和57)年のダイヤ改正を機に、急行としての役目をほぼ終えた475系は、なんと今度は「ローカル線の普通列車」として第二の人生を歩むことになったのです!
「えっ、あの格調高い急行形電車が、普通の通勤・通学電車になっちゃうの?」と、当時のファンも驚いたそうです。
急行時代の重厚な2ドア構造のまま、つり革を増設し、真っ赤な九州色や、爽やかな北陸色に塗り替えられた475系は、地域の人々に寄り添う「街の足」として、なくてはならない存在になっていきました。
かつてステータスだったヘッドマークの代わりに、「タウンシャトル」などの手作りのヘッドマークを掲げて健気に走る姿は、どこか愛おしくもあり、涙ぐましいものがありましたよね。
【今に続く価値】2015年、北陸新幹線の開業とともに去りぬ
激動の時代を走り抜けてきた475系ですが、21世紀に入るとさすがに老朽化が進み、アスベスト問題なども重なって、仲間の車両たちが次々と引退していきました。
JR九州に所属していた車両たちは、2010(平成22)年までにすべての定期運用を終え、静かに姿を消していきました。
しかし、最後の奇跡が起きたのがJR西日本の北陸本線でした!
なんと、北陸新幹線が金沢まで延伸開業する直前の2015(平成27)年近くまで、普通列車や快速列車として、奇跡的に現役で走り続けていたのです。
JR西日本の粋な計らいによって、一部の編成が懐かしい「国鉄急行色(ローズピンクとクリーム色)」に復刻されると、日本中の鉄道ファンが北陸へと押し寄せ、お祭り騒ぎになりました!
そしてついに、2015年3月14日のダイヤ改正をもって、475系はすべての定期運用を終了しました。
北陸新幹線の華々しい開業と引き換えに、ひっそりと、しかし確かな足跡を残してレールを去っていったのです。
現在、現役で走る475系を見ることはもうできませんが、一部の車両が博物館などで大切に保存されており、当時の熱い闘志を今に伝えています。
技術者たちが妥協せずに作り上げた「抑速ブレーキ」や「交直流技術」のDNAは、現在の北陸を走る最新鋭の521系などの電車たちにも、しっかりと受け継がれているんですよ!
【結びと提案】あなたの手元で、あの輝かしい「急行色」を再現しませんか?
昭和から平成へ、半世紀近くにわたって日本の鉄路を支え続けたJR475系。
その力強くもどこか優しい走り姿は、今でも私たちの心の中で色褪せることはありませんよね!
「もう一度、あのローズピンクの車体に会いたいな……」
そんなあなたにぜひおすすめしたいのが、鉄道模型(Nゲージ)で、お部屋の中にあの頃のマイ・急行列車を再現することです!
TOMIX(トミックス)やKATO(カトー)といった一流メーカーからは、475系の精密なNゲージ模型が数多くリリースされています。
あの特徴的な「デカ目」や、屋根上にずらりと並んだ交直流電車特有の複雑な機器類、そして美しい国鉄急行色が、手のひらサイズで忠実に再現されているんですよ!
模型のコントローラーを回し、モーター音を響かせながら、デスクトップの線路を快走させてみてください。
きっと、あの懐かしい旅の思い出や、技術者たちの情熱が、あなたの部屋いっぱいに広がること間違いなしです!
今度の週末は、お気に入りの475系を机の上に走らせて、昭和へのノスタルジックな旅に出かけてみませんか?